2013年9月14日土曜日

こころのやまい


アトリエの目前にある赤松が枯れました
木立の中でそのすくっと立った姿は、何時も存在感をもっていました

引っ越してきた頃、立て続けに家の回りの赤松が枯れた時期がありましたが
それ以後、我が家の近所はわりと安定していたように思います
全く枯れなかったというわけではありませんが

しばらく前、くだんのその松の方向からカミキリムシの発する音のようなものがしばらく聞こえていたように思います
それからあっという間の出来事でした


今年は近所でもかなり多くの赤松が枯れているように見受けられます


文庫化され新しく出版されたこともあって、「欧化と国粋」ケネス・B・パイル(松本三之介 監訳・五十嵐暁郎 訳)を読んでいます。当初、1986年に社会思想社より出版された本だそうです

本屋に立ち寄り、何冊かまとめ買いした中の一冊でした
ほとんど偶然、目に止まった題名を手がかりに購入したのです

偶然と書きましたが、私自身がずっとひっかかっているテーマを想像させる題名が目に飛び込み、手にとったのですから、なんらかの縁が働いたことはたしかでしょう
ましてや、入れ替わりの激しいいまどきの書店、棚の並びなのですから


近代国家に生まれ変わる
まさしくそれまでの価値観が一変するような状況

新しく入ってきた西欧の学問を学ぶことが
自分の人生を積極的に変えていく具体的な力になる

若い人々によってなされたまさしく革命


それまで「生き方」は、家庭によって教えられてきた
それと相反する新しい教育こそが自分たちの未来や社会を変えていく

親、大人たちの価値観ではいけない・・・・・・
・・・・「生き方」を家庭では教えられなくなった


学ぶ若い人たちは、心を病んだのだそうです
それもめずらしくないほどの数


革命といって良いほどの社会変化をごく短期間で成し得た日本の明治時代を調査したこの本、もともとは1961年〜1964年にかけて東京のスタンフォード大学日本研究センター(現在はアメリカ・カナダ大学連合日本研究センター)に所属し、研究した著者の博士論文だとか
聞いたこと、読んだことのある名前が次々に出てきます
岡倉天心も含め、登場する方々がみんな若いことに驚きます
まさしく若い人によって革命がなされたのです


「伝統と近代の問題」は、現在のこの国のナショナリズムを問う話でもあるのです


タイトルを何故<こころのやまい>としたのか
<こころのやまいがどのようにして生まれ、つくられるのか>ということを。
ふと、読んでいて思ったからなのです・・・

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